11月2日、青森県弘前市内にて「SDHフォーラム」が開催されました。
青森民医連弘前事務所で行われている「社会保障学習会」に結集する弘前大学医学生が実行委員会を立ち上げ、試行錯誤と議論を繰り返し準備を進めてきました。東京大学大学院医学系研究科准教授の近藤尚己先生を講師に、社会的要因がどのように健康に影響を与えているかを病院職員・地域住民と共に考えようと企画されたものです。医学生や病院職員、一般市民を含む118人が参加しました。SDHとは「健康の社会的決定要因」のことで、人々の健康状態を規定する経済的・社会的条件のことを意味します。健康が社会的、経済的、政治的、環境的な条件に影響を受けることが世界規模でも広く認められてきており、格差の是正が求められています。
フォーラムではまず医学生からこれまで学習してきたことが発表されました。社会的要因が健康に影響を及ぼすことを証明するには統計的なデータが重要としたうえで、「認知症」や「ソーシャルキャピタル」を取り上げ、教育歴や社会的つながりが、身体的にも精神的にも影響を及ぼすことを解説しました。どちらの問題も個人を対象に対策するのではなく、社会全体を捉え対策することが重要だと問題意識や想いを語りました。
近藤先生の講演では、社会問題を「見える化」することが重要だとして、先進国と発展途上国のGDPと寿命の関連性をグラフで表し、所得格差の高い国ほど寿命が短いことを示しました。また、他者との比較が不健康を及ぼすという研究が紹介され、「他者比較がストレスを増大させている」と述べ、「SDHを変えるためには社会環境やまちづくりの改善に取り組むことが必要」と訴えました。
参加者からは「医学生が社会問題を勉強しているのは素晴らしい!そういう視点を持った医師になって欲しい」等の感想が寄せられ、学生実行委員も「来年も開催したい」と今後の学習に意欲をみせていました。