8/10(土)~11(日)薬学奨学生の夏のつどい2013in坂総合病院~石巻市(宮城県)を開催
青森・岩手・宮城の薬学生・職員あわせて24人が参加、青森からは奨学生6人と職員3人が参加してきました。『東日本大震災被災地(多賀城・塩竈~石巻)のフィールドワークを通して、地域の現状と課題(いま)を学び、地域の人々の立場に立った復旧復興(これから)について考える』ことを目的としてフィールドワーク等に取組みました。
1日目 講演『被災地医療の現状と課題』 & 石巻仮設住宅→復興商店街訪問
朝7時に弘前に集合しバスで集合会場の坂総合病院(宮城県塩竈市)に向かいます。途中、盛岡で岩手民医連の学生・職員さんたちと合流し、バスレクで楽しく交流していたら気づいたら塩釜市内です。
坂総合病院に集合。宮城の学生さんが担当してくれたアイスブレイクで、緊張もほぐれたところで最初の講義です。
坂総合クリニック在宅専任看護師の高橋さんからは、訪問看護や相談活動を通じて多賀城市内の被災者の方々の現状について。同じく坂総合クリニック事務長の神倉さんからは、国の政治の歪みによる貧困と格差社会が広がる中で起きた東日本大震災が、貧困や地方の過疎化をいっそう加速させていくことに繋がりかねない危険性について、様々なデータからお話していただきました。
続いてはいよいよフィールドワーク。バスで石巻市内へ向かいます。
現地ガイドの石巻市会議員の庄司先生と合流し、最初に訪れたのは大橋仮設住宅団地の集会所。そこでは仮設の住民の皆さんが集まり、復興住宅への移住についてざっくばらんに話し合いをされていました。
「震災で助け合い、作ってきたこのコミュニティーがなくなるのは困るし、また鬱になってしまう」「引っ越してまた電化製品等を準備する余裕がない」「小学校・中学校はどうなるの?」等、様々な要望や疑問が出されました。その声をどのように行政に反映させるかが課題です。
次に向かったのは復興商店街。駅前の立町復興商店街と中瀬近くのまちなか復興マルシェに別れて、2~3人一組になって、2つのミッション-①配布したアンケート用紙にもとづきお店一軒一軒でお話を伺う。②お店で夕食交流会の景品を購入する。にチャレンジ!
食べ物屋、パン屋、電気屋、海産物屋、土産物屋…様々なお店が並びます。そこでは津波で店舗が流され、現在まで仮設店舗でなんとか商いを続けてきたご苦労や、仮設店舗の期限(4年間)が切れた後の不安なども伺うことが出来ました。「元の石巻に戻って欲しい」という切実な願いが印象に残りました。
今回、宿泊した石巻アパートメントホテル。
ボランティアや復旧・復興事業の人たちのための安くて便利な宿を提供したいということで、この春オープンしたばかりのホテルです。従業員の皆さんは被災された方々だそうです。美味しいお料理とアットホームなおもてなしに心が温まりました。
交流会に先立ち、フィールドワークのガイドをしていただいた庄司さんから、被災者の立場に立った支援やボランティア活動とは何かということ等、実例を通してお話してもらいました。
交流会では岩手の皆さんが用意してくれた北海道・東北ご当地クイズと、商店街フィールドワークで購入してきた景品で、とても楽しい一時をすごしました。
2日目 講演『石巻の現状と課題~ラジオ石巻の取組み他~』 & グループワーク
会場は石ノ森萬画館。この建物は石巻市内を流れる北上川の中瀬に建ち、震災当時は10m近い津波の被害を受けたところです。コンクリートの頑丈だった建物は何とか残り、この春に再オープンしたばかり。中瀬にあった他の娯楽施設や旧い教会は大きな被害を受け、周囲にはまだ津波の深い爪痕が残っています。
最初にラジオ石巻の高須賀さんのお話をお聞きしました。電気も止まり携帯も繋がらなくなった当時、ラジオが唯一の公共放送として細かな現地情報を被災地域に届けたこと、音楽放送が視聴者の心の癒しとなったこと、ご自身の体験も踏まえ石巻全体の状況や思いについてお話をしていただきました。
次に昨日のフィールドワークについてグループ毎にまとめ、発表をしてもらいました。それぞれの班で聞いてきたお話をまとめ、発表し合いながら、被災者・被災地域の皆さんが望む石巻の街の将来像については、人それぞれの思いがあること。それらを十把一絡げに捉えたり、弱者・少数意見を切り捨てたりすることなく、ひとつひとつ丹念に拾い上げて大事にしていくことが、本当に住民が住み良い街づくり・街興しにつながるとなることを確認し合えたと思います。(山)