8/9(火)-10(水)の二日間の日程で全日本民医連 北海道・東北地協 ”2016薬学生夏のつどいin札幌”を開催。 参加者は全体で40人(薬学生29人・職員11人)。青森からは薬学生6人・職員2人が参加しました。

今年のつどいは、”現代の(なまらキビシ~)貧困問題と向き合うっしょ!”をテーマに、勤医協札幌西区病院で行われているSOSネットの早朝ホームレスパトロールへの同行体験フィールドワークを中心に、民医連の職員・共同組織の人たちが協力して社会の貧困問題に取組む意義について学びました。😀青森チーム出発

1日目(8/9)

青森チームは青森空港に集合。簡単にオリエンテーション(自己紹介)を済ませ、いざ出発!✈→🚃を乗り継いで集合場所の札幌駅に到着。そこから参加者全員で会場のホテルに向かいました。
最初はアイスブレイク「聖徳太子ゲーム」で緊張をほぐしてから、いよいよつどい本番のスタート。アイスブレイク

スモールグループディスカッション

つどいの参加者に事前課題として「貧困とは何か?」「貧困と感じた体験や事例」「貧困の発生する原因は?」等を書いてもらったものをグループ毎に各メンバーから紹介しあってもらいました。「東京でホームレスを見たことがある」「海外の(発展途上国)問題?」「身近な人が破産をして大変そうだった」等の経験談や意見が発表されていました。

講義① 民医連薬剤師の5つの目標から無料低額診療・困難事例を考える

講師:鶴山 辰 氏(北海道勤医協理事・勤医協中央病院薬剤部長)鶴山講演

民医連薬剤師の5つの目標(①民主的集団医療を軸に訂正な薬物療法の実践/②薬害根絶と医薬品の安全確保に全力をあげる/③患者・国民の人権を守るために行動する/④地域に根ざした薬剤活動を展開する/⑤全国の仲間と力を合わせて取り組みをすすめる)から、今回は①~③についてお話していただきました。製薬企業の利益追求が薬事行政を歪め安全な薬物療法の妨げになったり、高薬価や薬害の温床になっていること。それが、ひいては治療の中断等「お金の切れ目が医療=命の切れ目」にまで繋がっている地域社会の実態を見つめながら、「患者さんや地域,国民の人権を守る」立場に立つことの意義を学びました。

講義② SOSネットの取り組みについて ~早朝ホームレスパトロールの取り組み

講師:土屋 早苗 氏(北海道勤医協札幌西区病院 医療福祉課 課長)土屋講演

札幌西区病院で取り組まれてきたホームレスパトロールの概要と経過についてお話していただきました。リーマン・ショックで大量の解雇者が溢れ、東京日比谷公園で『年越し派遣村』が取り組まれた2009年に、札幌手稲区の公園で野宿していた若者を救出・支援したのがきっかけでスタートしたSOSネットワークのホームレスパトロール。現在まで、病院スタッフと共同組織の人たちとが協力しながら、ホームレスや独居老人の見守りサポート等を行って活動について、翌朝の同行見学フィールドワークに備えた事前学習を行いました。

夕食交流会

夕食交流ゲーム1
グループ対抗の連想&ジェスチャーゲームで大盛り上がり!😆
盛り上がりすぎて翌早朝のフィールドワークは大丈夫か!?

 

2日目(8/10)

フィールドワーク

6:20にホテルロビーに集合し、2日目の会場・勤医協札幌西区病院に移動。
7:00からグループごとに分かれていよいよ、ホームレスパトロールに出発!

近隣の公園や、隣駅のショッピングセンター。コンビニやネットカフェ等をSOSネットの皆さんにガイドしていただきながら、それぞれ1時間ほど歩いて見て回って来ました。パトロール1
朝ごはんを食べながらのパトロール報告会では、実際に”常連”のホームレスの方と出会ってお話をしてくることの出来た報告もありました。その他、ホームレスの方とお会いできなくても、公園の寒さ・環境の厳しさを実感したり、かつてホームレスの方が座っていたり休んでいたショッピングセンターの階段の下や踊り場などに、現在では「立ち入り禁止」の立て札が建っていて、ホームレスを「とりあえず」目の前から排除している社会の実態を見学することが出来ました。
「行き場を失った人々の生活は?健康は?人権は?どうなるの?」何気ない身近な街の風景から、今まで見えてこなかった色々なことに気づき、学ぶことが出来たフィールドワークとなりました。👍パトロール2

 

講義③ 事例から見る貧困と社会的背景

講師:田村 優実 氏(北海道勤医協労働組合 書記次長)田村講演

SOSネットワークの取り組み当初から携わってこられた経験から、民医連がなぜ貧困問題に取組むのかをお話をしていただきました。
ホームレスパトロールを続けてきた中で、困難を抱えている地域の人々を生活保護や医療に繋げてきた事例・うまく行かなかった事例等を紹介していただきながら、民医連がモットーとして掲げている「無差別・平等」の医療・介護・福祉は「機会の平等」に留まらず、「結果の平等」(公正・正義)を目指している。その実現ためには、”地域に出て”目の前の患者さん・地域の人々の立場に立って事例から学ぶことが大事だと感じました。
また、民医連では経済困窮により医療が間に合わず死亡に到った数々の現場からの事例を「死亡事例調査」としてまとめ、マスコミに公表しながら社会保障制度の改善と充実を訴えていることも紹介していただき、医療人として「誰もが健康で文化的な生活を営む」ことが保障される社会を目指すことの意義を学びました。

 

グループワーク 自分たちに何ができるか、どうするべきか

2日間のつどいのまとめを各グループそれぞれで行ってもらい、講義やフィールドワークを通じて学んだことをもとに、今・これから自分たちで出来ることや、提起したいこと等を発表してもらいました。無料低額診療事業や保険料減免制度等も学び広げ活用しながら、周りの地域で暮らす人々の状況にきちんと目を向け、地域ぐるみで地域の困難事例・貧困にきちんと手を差し伸べること等をまとめ発表しました。👏2日目SGD2

 

参加者感想から

  •  (今回のホームレスパトロールで2人の方に会いお話を聴けて)話すととても気さくな方で驚きました。こんな良い方たちなのにどうして…と、くやしいような悲しいような気持ちになりました。
  •  医療費を払えずに治療をやめてしまう人たちが現実にいるということを思い知らされた。
  •  貧困はその人のせいではなく、社会全体で支えていくべき問題だと考えた。
  •  貧困は意外と身近な問題。大きな問題だからこそ自分にできる小さなことからやっていくのが必要。
  •  「誰か」が手を差し伸べなければ。薬剤師も貧困者を支援する「誰か」になって、貧困問題に向き合っていくべき。
  •  いろんな県の人と話して、いろんな考え方を知ることが出来て良かったです。集合写真

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